『つながる』は主に女性に読んでもらうことを意識して書いた本である。女性たちがセックスのテクニックに走り出した。かつての男たちと同じ轍を踏むかもしれない。どうすれば心の満たされるセックスができるのだろう。
その方法を記すにあたって、舞台裏も含めて撮影現場のエピソードをふんだんに紹介した。登場するのはほとんどがふつうの学生やOL、主婦たちである。僕の心に引っかかったり響いたりして、印象深い出来事ばかりだ。
それらの中から、たとえば渡辺あい監督は「門限九時半のお嬢様」というエピソードが、自分の話であり、自分の家族や友人、そして自分の知らない多くの女性たちの話であると感じたと言う。渡辺監督は親の過干渉に苦しむこの女性の話を『感電』という作品に仕上げてみせた。
このように僕が頭で作り出したものではない生身の女性の人生が、あるいは彼女たちから教えられ、気づかされたヒントが——たとえば深井朝子監督が「愛は“今”という瞬間に宿る」という話から『おはよう、マコちゃん』を仕上げたように——若い感性を得てそれぞれ新たな物語に結実した。
女性を念頭に置いてつづった本が、女性プロデューサーの早川ナオミ(中原翔子)に受けとめられ、3人の女性監督によって映像化されたという事実が、僕にとってはなによりの驚きであり、このうえなく嬉しいことなのである。また多くの人たちに、この映画が“つながっていく”ことを心から祈っている。